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10月から始まるステマ規制への対応を、消費者保護の観点で考える

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この記事内の法解釈や対応は記事投稿者個人の所見によるものです。
法律行為は自然人としての個人ならびに法人の意思能力に基づき、それぞれご自身の責任において行って下さい。

まず、このブログはAmazonアソシエイトプログラムの参加者です。
つまり、

この10月からのステルスマーケティング規制の対象になる

可能性がある、ということです。

このブログは「私のやってみたも誰かの役に立てるのなら」という単純な目的で制作・投稿してきました。
なので当初はステマ規制の影響を受けることはないと思い、のんびり構えていました。

しかしステマ規制開始の10月が近づくにつれ、多くのブログ記事、そしてアフィリエイトASPもアフィリエイトリンクに「PR」「広告」と表示するよう規約を変更し始めています。

その様子をうかがって、

小規模ブログ運営者である私が疑問に感じたことがありました。

このブログのように、記事投稿者が自分で使って良かったと思う商品を文脈に沿ったアフィリエイトリンクを貼るだけのプロモートも、商品提供事業者丸抱えを隠すいわゆるごりごりの「ステマ」と同列に、規制対象として扱われなきゃいけないの?

ということでした。

この疑問の解消に向け、このブログのステマ規制対応は本腰を入れて考えることにしました。

ご覧の通りこのブログはきわめて小規模で、PVも少ないです。
もしステマ規制対応が必要だとしても、可能なら

必要な情報が必要な人に届くユーザーフレンドリーさは維持し、必要以上の情報表示はしない

を、対応の目標にしたいと思ってます。

10月から始まるステマ規制の概要

今回のステマ規制については、次の消費者庁のページで非常に詳しく解説してくれています。

令和5年10月1日からステルスマーケティングは景品表示法違反となります。 | 消費者庁

凄く分かりやすいガイドラインが、この消費者庁のページの下部、4番目のPDFファイルに見つかりました。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/assets/representation_cms216_200901_01.pdf

この運用基準ガイドブックの9-10ページを見ますと、

ステマ規制の運用基準

企業案件を扱う規模のインフルエンサーでも小規模ブログのアフィリエイトでも「明示的・暗示的な指示」による第三者の表示は事業者の表示とみなされる、とのことです。

ただ、ガイドブックの11ページにあるように

客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合、事業者の表示とはならない

そうです。
そこはサイトの影響力に関係なさそうです。

このブログのように自由意思で記事を投稿するサイトなら、もしかするとこの運用基準に沿えば景品表示法の適用対象から外れるかも?
と期待感を持って読み進めていったら、2番目のPDFファイルには次のように書かれていました。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/fair_labeling/guideline/assets/representation_cms216_230328_03.pdf

5-6ページにわたって記載されている

2 事業者が表示内容の決定に関与したとされないものについて

⑴ 第三者が自らの嗜好等により、特定の商品又は役務について行う表示であって、客観的な状況に基づき、第三者の自主的な意思による表示内容と認められる場合は、通常、事業者が表示内容の決定に関与したとはいえないことから、事業者の表示とはならない。

として、いくつかの例が明記されてました。
そのいくつかの例のうちこのブログに関係ありそうなものは

ウ) アフィリエイターの表示であっても、事業者と当該アフィリエイターとの間で当該表示に係る情報のやり取りが直接又は間接的に一切行われていないなど、アフィリエイトプログラムを利用した広告主による広告とは認められない実態にある表示を行う場合

法律用語で「一切」はくせ者ですね。
この例は、逆に言えば

アフィリエイトプログラムを利用する場合は、第三者の自由意思による表示であっても、広告主による広告と認められる表示ととられる可能性が高い

と受け止めました。
つまり

アフィリエイトプログラムである限り、事業者が表示内容の決定に関与してない、とは言えないな

と思い至り、「アフィリエイトプログラムを使っている限り、ここのような小規模ブログであっても、今回のステマ規制には対処するのが消費者保護視点」と判断しました。

ただそれでも、やはり悪質ステマとただのアフィリエイターが同じ法で同一視されることには、私はまだ納得していません。

そこで

ステマ規制の主旨を把握しようと思いました

消費者庁のページにある5番目のPDFファイルに(65ページというボリューム感満載ですが)「アフィリエイト広告等に関する検討会報告書」に目を通してみました。

https://www.caa.go.jp/policies/policy/representation/meeting_materials/review_meeting_003/assets/representation_cms216_220215_01.pdf

この報告書から一部の記述を抜粋します。

44ページ

ウェブサイト、ブログ、SNSなどの中にある企業の広告について、「広告」であることが分かるようにしてあるほうがいいと思いますか。」という質問に対して、20,000名の消費者のうち、約87%の消費者(17,355 名)が「分かるようにしてある方がいいと思う」と回答し、約13%の消費者(2,578 名)が「分かるようにしなくてもいいと思う」と回答した

49ページ

アフィリエイト広告は、アフィリエイターが創意工夫をして消費者目線で体験談等を記載しており、また、事業者にとっては少ない費用で広告ができるメリットがあるなど、消費者や事業者にとって重要な広告宣伝手段

52ページ

一般的な事業者であっても、法的な理解の不足等から意図せず不当表示を生じさせてしまうこともある

個人サイトの記事を消費者目線と評価していることからもWEB広告自体を目の敵にしているのではなく、必ずしもアフィリエイトを悪意あるステマと同列に排除しようという目的ではなさそうです。

法令である景品表示法の原典に当たってみます

景品表示法は宅建試験の受験時に学習したばかりですし、

予備校に通い、宅建士本試験を受験
コロナの今年の生活は、このブログで記事にするネタに乏しい日常です。 だからといって暇ですることがないわけでもなく、むしろ多忙です。 今年の日常生活での特徴は「勉強」でした。 主に宅建資格の取得を目指してです。 私の本業は全くの異業種ですので、5問免除は適用...

現在の仕事でも良く参照するので私にとってはなじみ深く、また恩恵を感じている法令です。

消費者庁のページには、ステマ規制の運用根拠が1番目のPDFファイルで明記されています。

一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示

(令和5年3月28日内閣府告示第19号)
不当景品類及び不当表示防止法(昭和三十七年法律第百三十四号)第五条第三号の規定に基づき、一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示を次のように指定し、令和五年十月一日から施行する。

一般消費者が事業者の表示であることを判別することが困難である表示

事業者が自己の供給する商品又は役務の取引について行う表示であって、一般消費者が当該表示であることを判別することが困難であると認められるもの

ここで言及されている「景品表示法第五条3号」を見てみます。

不当景品類及び不当表示防止法(景品表示法)本文から抜粋

第一章 総則

(目的)
第一条 この法律は、商品及び役務の取引に関連する不当な景品類及び表示による顧客の誘引を防止するため、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれのある行為の制限及び禁止について定めることにより、一般消費者の利益を保護することを目的とする。

中略

第二章 景品類及び表示に関する規制
第一節 景品類の制限及び禁止並びに不当な表示の禁止

中略
(不当な表示の禁止)
第五条 事業者は、自己の供給する商品又は役務の取引について、次の各号のいずれかに該当する表示をしてはならない。
中略
三 前二号に掲げるもののほか、商品又は役務の取引に関する事項について一般消費者に誤認されるおそれがある表示であつて、不当に顧客を誘引し、一般消費者による自主的かつ合理的な選択を阻害するおそれがあると認めて内閣総理大臣が指定するもの

要するに法に照らしてステマ規制を私なりに解釈すると、この法規制は便宜上ステマ規制と呼ばれてはいるだけで、主旨は

悪質な広告主による意図的な誤認を排除することはもちろん、WEB広告全体のユーザーフレンドリーな表示を通じて消費者が求める最適な商品選択を目指し、消費者保護を実現すること

という、非常に納得できるものと理解しました。

このブログも、ユーザーフレンドリーを旨とするなら「広告であることの表示」ぐらいは実施しようと思いなおしました。

以上前置きが長くなってしまいましたが、

当ブログのステマ規制対応はつぎの通りとしました。

消費者庁の報告書にあるとおり、アフィリエイトリンクであることの表示は87パーセントの消費者が求めてることなので、まずは

Amazonリンクを貼ってる記事に「Amazon商品PR」タグを貼る

このWordPressはテーマ「Cocoon」を使用してます。
Cocoonの素晴らしさにこの場を借りて作者様に改めて御礼申し上げます。
フリーでこんな多機能なテーマを使わせていただける幸せ。

この優れもののテーマCocoonに、このたびのステマ規制に合わせPR表記設定機能が追加されました。

ステマ規制に対応するためのPR表記設定について
2023年10月施行の通称ステマ規制において、「不当表示」とならないように対応が必要となりました。 詳細はこちらなどをご参照ください。 参考 2023年10月施行の景品表示法の指定告示(通称ステマ規制)に関するお知らせ - A8スタッフブロ

このPR表記機能は、多くのアフィリエイトリンクが存在するアフィリエイターにとって、一発で記事に広告表示を実現させるという、大変重宝する機能です。

でも私は今回はそのPR表記機能を使わずに

商品紹介リンクのある記事にPRタグを貼ることにしました。

なぜなら、このブログは、記事のうちAmazonリンクを貼ってる記事よりも、リンクを貼ってない記事の方がはるかに多いからです。
Amazonリンク入りの記事は、このブログ全体のうちせいぜい5分の1程度です。
まあ記事全件に表示を貼っても良いんですけど、「必要以上の情報表示を避ける」が今回の対応の目標でもありますので、アフィリエイトリンクのない記事にもPR表示は出来れば避けたいです。

もしCocoonのPR表記機能を利用したら、リンクなしの記事からPR表記を除外するという作業を、全記事の5分の4の投稿に対して行わなければなりません。
その作業をタグに置き換えれば、リンクあり記事とリンク無し記事の表示切替作業は、Amazonリンクを貼ってる全体の5分の1程度の記事に対してタグを貼る作業で済みます。

「Amazon商品PR」というタグを用意して、このブログひとつひとつの投稿にアフィリエイトリンクがあるかどうかを確認し、タグ付けしました。
投稿日が過去の記事でも、現在公開されていれば今回のステマ規制の対象になりますので、全記事を確認しました。

作業の結果、タグが付いた投稿数は全記事の20.4パーセントでした。
各投稿のタグは

このように表示されてます。

PRタグのリンクから飛ぶ「タグページ」にはASPとの関係性を明示する表記を加えました。

タグ機能を使うメリットの2つ目は、タグにタグページへ飛ぶリンクが貼れることです。

繰り返しますが「アフィリエイトリンクには広告であるという表示」は、87パーセントの閲覧者の要望です。
タグに貼られたリンクから飛ぶタグページの冒頭に「ASPの関係性を明示する」記述を加えたら、この閲覧者の要望である「広告PRが掲載されてあることが分かる」を最大限に満たせる、と思いました。

カスタムしたタグページはこちら。

紹介商品供給事業者との関係性の明示
Amazon商品PR

以上、冗長な記事に最後までお付き合いくださりありがとうございました。

この記事にもAmazon商品PRタグを付けていますので、最後に1点商品を紹介させていただきます。
と言ってもステマに関する商品は持ち合わせてませんので、代わりに私がいつも使っているマステをご覧下さると幸いです。

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