どっぷりと両刃カミソリの良さにはまっていますが、 もともと両刃カミソリの世界に飛び込んだきっかけは、カートリッジカミソリの替刃の高コストに嫌気が差したことでした。
今では両刃カミソリの低いランニングコストそっちのけで、替刃やホルダを複数種使い分けて違いを感じたり、シェービングソープやブラシ、アルムブロックやアフターシェーブローションや乳液も揃えて楽しんでいます。
こんな素晴しい世界があるんだ、と毎朝のシェービングを堪能できる両刃のよさは語りつくせません。
西洋カミソリはロハスでエコだと思う
それとは別に、ランニングコストを追求しようとするなら、髭剃りにはもっと別の選択肢があることに気付きました。
それは西洋カミソリです。
昔、子供のころに通った床屋さんがシパシパしていたあれです。
今通っている床屋さんはこれを「本レザー」と呼んでいました。
私は今両刃カミソリの世界までは足を踏み入れてますが、両刃カミソリとは言ってもSafety Razorですので、失敗したからといって生命にかかわることはありません。
一方西洋カミソリの直刃はむき出しですから、これを顔に当てるなんて免許持ってる人しか出来ないことだろう、とこれまでは自分で使うことなんて思いも及びませんでした。
しかし改めて見直してみると、身の回りにはカッター、電動マルノコからに包丁にいたるまで、むき出しの刃物は沢山あります。先日もスクレーパーで指切ったばかりだし、そもそも生きていくうえでもっと危険なリスクをとらなきゃならない場面なんてほかにいくらでもあるんだし。
そして西洋カミソリは直刃ですから、替刃交換というランニングコストは皆無です。
砥石はイニシャルコスト。
ランニングコストを考えていったら、西洋カミソリはもっともロハスでエコな髭剃りなんじゃないか?と思うと、次第にこの西洋カミソリが気になってきました。
このページを見て、ついに
Gold Dollar 208を買うことにしました。
eBayでなんと、革砥+ブラシ+砥石がセットで1,856円。こんなに安いんですね…その上Free shippingです。
ただしこの商品はShave Readyではないので、剃れるようになるまでもっていくには自分で何とかしないといけません。
まあ今回西洋カミソリに手を出す動機には、自分で研げるようになりたいというのもあったので、この安さは私にはうってつけだと躊躇なくポチりました。
初eBayだったので届くまで不安でしたが、ぽちって12日で届きました。思ったより早かったです。
Shave Readyではなかったので期待はしてませんでしたが、よく見ると刃元ががたがたしてます。
これは研ぎ甲斐があります。
早速研いでみることにしました。
砥石はまずこれを使いました。
この左側の砥石は手もちのもので、包丁を研ぐのにだいぶ前から使っていたものです。
自分で買ったもののはずだと認識してますが、いつごろ入手しどんな種類のものなのか、まったく記憶にありません。
使い込んでて文字も判別不能なので、番手がわかりません。
今回のGold Dollarに同梱されていた砥石#400-#1500と比較して、この石の番手はいったん、茶色の面を#1000/白い面を#3000と推測しました。
右のものは今回買った面直し砥石です。
まず面直し砥石でフラットにしてから、YouTubeで「straight razor honing」で検索した動画を見て覚えた方法で研ぎました。
茶色面/白面の順で研ぎ、腕毛が切れるか試してみました。
しかしまったく切れません。つまり研げてません。
研ぎ方が悪いのかと思い、再度動画を検索したところ、
この動画を見つけましたので、これを参考に同じように再度研いで見ました。
すると、今度は腕毛がすこし切れるようになりました。
この時点で無謀にも、
これで剃ってみたくなりました。
事前に近所のホームセンターで買っていた青棒を、Gold Dollar同梱革砥2枚目の布砥にぬって、
stropしてみました。
また、同梱ブラシを使ってみました。
ブラシはナイロンブラシと表記されているものでしたが、毛の量と細かさがホームセンターの豚毛ブラシより良いものだと思いました。
ただし当方ブラシはあまり持っておらず、このブラシへの評価はYMMVなことをご承知おき下さい。
さて、顔を剃ってみました。
…腕毛が剃れた程度の研ぎ具合ではぜんぜん使い物にならない、ということがわかりました。
順剃りだけの予定でしたが、なんとか出来たのはもみあげのみで、その他の部位は引っ掛かりが強すぎて、刃を進めることさえ出来ませんでした。
砥石を追加購入して研ぎ直し…砥石沼
ここで、もっと細かい番手の砥石が必要だと考え、
を買うことにしました。
Amazonでは中華っぽいもっと安い砥石が細かい番手で沢山ラインナップされていましたが、それらを眺めてみると、番手は表記ほど細かくなく実際はせいぜい1000とか3000とかという内容のレビューがいくつも見受けられました。
表記されている番手が信用できそうな品を選んだ結果、上記の砥石になりました。
さて、この砥石にたどり着くまでGoogleやAmazonをさすらっていたことで、大変大きな収穫がありました。
その収穫とは、先ほどまで使っていた手持ちの砥石がどんな商品なのか、はっきり思い出せたことです。
以前から手持ちで今回最初に使った砥石は、
この品でした。
石面の文字や外箱の模様の記憶が脳の底から甦り、20年ほど前に買ったものだということを思い出しました。なにもかもみな懐かしい…
貝印は家庭の隅々までいきわたってますね。
ところでこの砥石の番手は#500-#1200だったことが分かりました。
手持ちの石が#1200とわかったので、今回買った#6000との間を埋める、#3000の石も買いました。
2個も買ってしまうなんて、これがうわさの砥石沼ですか…
届いたので、研ぎました。
写真だと砥石がすでに減っているのは、家族に砥石沼への理解を求めたく、家の包丁もすべて研いだからです。
先の動画の見よう見まねで#6000まで研ぎました。
研いだばかりの状態で腕毛を剃ってみたら、結構切れました。
これなら実用できるレベルに達したかもと思ってこんなテストをしてみました。
Hanging Hair Testという、髪の毛の毛先を持ってカミソリの刃を髪の毛で叩くと、髪の毛が切れるというテストです。
テストの結果は、砥石で研いだ直後では、髪の毛は刃を避けて曲がるだけでした。
しかし、革砥で50回stroppingしたところ、髪の毛がブツブツ切れるようになりました!
切れ方は、キューティクルのひだに引っ掛かりが生じるようになり、そこがきっかけとなって切れる、という感じでした。
革砥の効力って意外と大きいんですね。
再度、これで剃ってみました。
順剃りだけの予定が前回は引っ掛かりが強く、もみあげしか剃れませんでした。
しかし研ぎなおした今回は剃る音から違っていて、前回の「ガチガチ」が今回は「パチパチ」と、両刃でゆっくり剃った感触に近いものになりました。
所要時間は、おっかなびっくりしながらなので全体の順剃りだけでおよそ20分ほどかかりました。
剃った結果は、もみあげと頬、あご下の両側面は良い仕上がりとなりました。
一方顔正面の鼻の下、口周り、あご下正面は上手く剃れませんでした。
アルムブロックが意外なところで沁みました。cut-throatという別名の由来が実感できました。
上手く剃れない個所がある原因は持ち方などの剃る技術が未熟だからだと思うので、
ここを参考に勉強して、今後精進してまいります。
西洋カミソリで剃れるようになると、剃る順番とかスピードとか、両手を使うこととか、両刃へのフィードバックが多いのではないか、と考えています。
今回の経験を通じ、手早くしかも深剃りできるという両刃の良さを改めて再確認しました。まだ私が西洋カミソリに未熟なこともありますが。
今回も西洋カミソリで20分悪戦苦闘した順剃り後の逆剃りは、フェザー・ポピュラー&ドルコで何もなかったように仕上げました。
※後日追記
この3年ほど後に
- 張り手をしグリップを決めて2パスで剃る
- 砥石を使い分け、8の字研ぎを使う
ようになった後日談を、こちらで記事にしています。
それなりに使えるようになるまで3年かかりました…
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