およそ14年前にお祝いで、モンブランの万年筆を戴きました。
かなり高級な品だと思うんですが、戴いてから1年ほど経過したら、
インクを吸い込む時に回すペン尻側のつまみが固着して回らなくなりました。
その当時私はまだ若く余裕もなかったので、使う機会が滅多にないものへの修繕に掛ける工数と費用に乏しかったことから、その万年筆はそのままお蔵入りとせざるを得なくなってしまいました。
それから10年ほど経過。
環境の改善によりようやく自分の身の回りのことを振り返ることが出来るようになってきました。
そんな3年ほど前のあるとき、再びこの万年筆の存在を思い出しました。
もしかするとそのときなら、調べれば自分で何とか出来るかも?と思い、箱の横に書いてある型番「23146」で検索してみました。
すると次のようなページを見つけました。
このページを見たことにより、このページにあるレベルにまで分解することが出来たなら、もしかすると自分でも何とか出来るかもしれないと考えました。
そこで試しに万年筆を水道水に漬けてみることにしました。
小さなバケツに水をはり、万年筆を沈めたところ、固着したつまみの接続部分から青インクが滲出してくるのが見えました。
ここで私は、固着の原因は恐らく、この万年筆の内部は洩れたインクで充満していて、そのインクが固まったままになっているのでは、と仮定しました。
この万年筆は頂き物ですから、無茶な分解して失敗するわけにはいきません。時間をかけてでも成功することが優先されました。
従ってこの日から、この万年筆を水道水に漬けたままにすることにしました。
この間、青インクは少しづつ滲出し続けていました。
青インクの滲出が止まって大分経ち、水道水に漬けてからおよそ2年が経過した昨年のある日、これだけ放っておいたんだからさすがにそろそろ分解できるようになっているのでは?と思い、バケツから引き揚げて分解してみました。
分解可能な箇所をひねって見ましたが、変化はありませんでした。
ビタミンCで何とかする
ここでちょっとくじけそうになりましたが、固着原因と考えている「固まった青インク」この辺のワードで検索してみました。
すると、こんなページが見つかりました。
古典ブルーブラックインクの万年筆へのこびりつきを化学的に落とす。 – 趣味と物欲
そういえば使ってたインクはブルーブラックだったな…
しかし手もとにアスコルビン酸なんていうものはないだろうな…とダメもとで妻に聞いてみたところ、
アスコルビン酸かどうかはわかりませんが、こんなものが出てきました。
これで何とか分解出来るようにならないかと、ビタミンカプセルの中身を溶かした水に万年筆を浸しました。
すると、水道水ではすでに止まった青インクの滲出が復活しました。
そして20分後、引き揚げて分解個所をひねってみたところ…
ペン先が付いてる首の部分と、胴体と、尻の部分の3か所に分解出来ました!
目標である固着を解消するには、さらに尻部分から固着箇所のつまみを分離させる必要がありました。しかしこの日はそれ以上の分解はできませんでした。
つまみを分離するために、そこからまた万年筆を水に漬けたままにする日々です。
でも今度はただの水道水ではなく、ビタミンカプセルの中身を溶かした水です。
そこからさらに1年経過した
昨日、久しぶりに万年筆のことを思い出し、分解してみました。
今回もしこれで尻からつまみが分離できなかった場合、次は熱湯という手も用意していました。
にもかかわらず尻のつまみ部分は、滑り止めのためゴムシートで包んで捻ったら…
意に反しあまりに呆気なく分解出来ました!
想像通り、つまみのネジは青インクに染まっていました。
分解された状態で今度はクエン酸溶液に20分浸し、再度仮組してみました。
今回外れたつまみのネジ部分がきついので、インクを吸い取ろうとつまみを回すと、尻部分全体のネジがさきにゆるみ、胴から外れてってしまいます。
そこでつまみのネジ部分の潤滑にシリコンスプレーをしてみたら、つまみのネジ側が回るようになりました。
この日はその後、全パーツを水道水に1晩漬けました。
翌日の今日は、コンプレッサーのエアで水気を切り、インクを充填しました。
書いてみたらこんな感じです。
10年を超えてようやく、当初の目標だったつまみ固着が解消されて万年筆の機能を取り戻せました。
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