DIY剃刀

天然砥石を養生し、砥石台を装着する

この記事は約4分で読めます。

砥石で刃物を研ぐことについてです。

今日この頃はカミソリ・包丁だけでなく、彫刻刀・鑿・鉋刃・肥後守まで砥ぐようになってきました。

小さな刃物にも大きな砥石を使って研ぐことは、面直しすることを考えたら砥石がもったいないな

と感じるようになってきました。
小さな刃を研ぐ用の小さい砥石があれば…

そう考えた矢先、以前伊予砥石のクラウドファンディングに参加した際、セットでついてきた天然伊予砥のコッパの存在を思い出しました。

名倉代わりに使うには贅沢な大きさのコッパ。
これを小さな刃物用の砥石にすることを考えてみます。

その場合、砥石底面の傾きや凹凸を何とかしないといけません。

またこのコッパとは別に仕上砥の本山鳴滝の合砥も手元にあり、その天然合砥も横から見える層のすき間が気になってきました

そこで今回は、これら天然砥石をまとめて

養生すると同時に、砥石台を作る

ことにした、という話です。

砥石台をヒノキ板で製作

選んだ木材はヒノキです。

丸鋸で一瞬にして切り分け完了。
切断面をサンドペーパーで平滑化しておきました。
これで砥石台となる木が準備出来ました。

あとはその上に砥石を貼り付けするだけで終わり…

ではありません。

砥面反対側の底面には、傾きや凹凸があります。
砥石をそのまま木に接着してしまうと砥面が水平にならなかったり、圧力が特定箇所に集中してしまったりするかもしれません。

台となる木を、砥石底面の凹凸にあわせて彫ってみました。

普通に置いたら傾く楔形のコッパの砥面を水平にするには、特に深く掘る必要があります。
ここは鑿の出番です。

鑿はあまり得意ではないんですけど、そんなこと言ってられません。

鑿のほかにも彫刻刀やミニルータを使って削っては現物合わせを繰り返した結果、砥面が水平になるような凹みになったようです。

天然砥石の養生にカシューを塗る

天然砥石のひび割れを防ぐため、砥面を除いた砥石全面にカシューを塗ります。

カシューは今回はネットで調達しましたが、最寄りにあるマニアックなホームセンターだけにはカシューるに加え薄め液も売ってました。

塗装作業中の養生のため、砥面にマスキングテープを貼ります。

砥石の砥面以外の5面にカシューを塗ります。
砥石台にも塗ります。

なぜか無性に焼き魚が食べたくなってしまいましたが、それは一瞬。
カシューの匂いは相当なものですので、室内で作業をする場合は換気するのが良いかと。

4日間かけてカシューを塗り重ねました。

塗装もあまり得意ではないので仕上がり精度は良くありませんが、自分用なので工作精度の許容範囲は広めです。

カシューで麦漆を作り、砥石を砥石台に貼り付け

カシューが余ってるので、接着剤として麦漆を作ってみることにしました。
ただしこれは失敗のリスク込みの実験です。
麦漆に透明カシューを使うと固まらないという記事をネットで目にしたし。

うすめ液で薄めていないカシュー原液と同じ重量の小麦粉を用意し、それをカシューに少しづつ投入。

水飴のような素材感になりました。

作った麦漆を砥石台の凹面に塗り込んでみました。

砥石を重ねてみました。

ここからしばらくの我慢です。

砥面のマスキングテープをはがしてみたら、カシューが隙間から侵入して砥面に付着していました。
完成した後に砥面は面直しする予定なので、今はマスキングテープを貼りなおすだけにしときます。

2週間後

無事にカシューの麦漆は、コツコツいう程度には固まってくれていました。

最後に、再度砥石と砥石台にカシューを塗りました。

そこから1日置いて、完成です!

形が楔型なのがわかるよう、横からの写真です。

こんな形の砥石でも、台があると安定した作業ができます。

面直ししてさっそく使用。

砥石台のおかげで安定感が凄いです!

これで思う存分研ぎを楽しめます。

コメント

  1. 十方 より:

    大変参考になりました。
    丁寧な工作と感じ入ります。
    薄い砥石の貼付けを思案しております。
    現状、ノミで彫ることは、
    自分には出来ませんので、
    何か考えてみよう…と思います。

    • Eco_Town より:

      十方さま、ご来訪ありがとうございます。
      このときはこんな手間のかかったことをしてしまいました。
      ただ麦漆とはどういうものか試したかっただけなんです…

      その後弊方も、多少がたつくだけで水平は維持できそうな薄い砥石に台を張り付ける、という
      第2弾の際には、さらに他のかたの作例を拝見して参考にし、
      砥石台は掘らず砥石をコーキング剤で張り付けるだけ、という作業だけで終えました。
      これで十分底面の凹凸を吸収できました。

      この時はあまりにあっけない作業で終わったので記録も残しておらず、ここで記事にできないので、
      Twitterに作ったものの画像をアップしました。

      https://twitter.com/Eco_town/status/1446828636749762567

      よろしければご覧くださると幸いです。

  2. 十方 より:

    ご丁寧なコメント、ありがとうございます。
    「Twitter」拝見いたしました。なるほどーと納得いたしました。
    これは良い方法ーとお見受けします。
     (拙宅、ヒバ・檜・杉などの無垢材を使用しているのですが、使って分かったことは、かなり伸び縮みがあります…ただし確かにヒバは少ない様に感じます。)
    実は、わたくしも、剃刀の収集(最近はほどほど)・剃刀の研ぎを1つの趣味にしておリます。そちらの方でも、ご厄介になるのではないか…と存じます。

    • Eco_Town より:

      十方さま、ご返信ありがとうございます。
      この投稿当時、いちおう木を選ぶときは反りが少なく済みそうなカットの木を選びましたが、やはり幅広の砥石を貼る第2弾にコーキングを使った理由は、おっしゃる通り反り対策がメインでした。

      自分が砥石に凝りだしたのはまさに本レザーからです。
      リアルですと剃刀趣味については床屋さんとしか話せないのですが、同好の方とお話出来る機会は貴重と存じております。
      自分は本レザーを研ぎだしてからまだ4年弱の若輩ですが、是非これからも気軽にお越しくださると幸いです。
      こちらこそよろしくお願いします。