長くなりますが、返品詐欺に対する自浄作用が働かないマーケットに出品することにおぞましさを感じ、少ない品数ですが即座にメルカリから全ての出品物を出品停止することにしました。
振り返ると先日、勝手に弊方はメルカリの企業理念をつぎのように好意的に推察していました。
この考察とは要するに、メルカリのやりたいこととは「貨幣経済の難易度を下げて依存を減らしたい、たとえば極端には物々交換経済のような社会」マイクロファイナンスなのでは、という主旨です。
そんな中、Xで話題の返品詐欺。
私はこれまでメルカリでは売り買い半々でおおよそ150程度の取引実績がありますが、トラブルめいたことは今まで1度もありませんでした。
もちろん迅速こまめな連絡・発送や、発送時必ず梱包直前の様子を撮影したり、過剰ともいえる梱包体制など、常にトラブル防止策を励行していました。
購入の立場では一度、出品者申し出のキャンセルに同意したことがある、という程度です。
このときも、購入した物は多少メンテが必要でしたが、そのことを加味しても充分に安い価格でした。
出品者が梱包に手間が掛かっている間に発送期限が迫ってしまったようで(そんな感じは気付いてましたが催促することはせず待ってました)無事に送れるか自信がないからキャンセルしたいとの申し出だったので「キャンセルは双方同意なら評価に傷はつかないので心配ないです。その商品はすこし慣れた人なら手直しして使えますから今回の価格設定では充分得なので、次回は送料分価格に上乗せして出品すると幸せになれます」とむしろ友好的に同意しました。
このような取引体験に囲まれた私は、Xで話題の返品詐欺のようなことがメルカリで生じるとは思いもよりませんでした。
しかし現在Xでは次から次へと返品詐欺事例が上がってます。
事例投稿を見て最初は「さすがに悪意あるひとでもこんなこと繰り返してたら自分の評価にも響き、自浄作用が働くのでは?」と疑問に思ってました。
そこでふと、メルカリのキャンセルと評価の関係について調べてみたところ…
さすがにメルカリさん、これはプラットフォーマーを自称してはいけないレベルかと。
何がいけないのかと思ったかといえば
「キャンセル後は取引が無効になるので、システム上、取引の評価自体が不可能になります」
という点です。
宅建などで民法を学んだ方はご存じのとおり、取り消しと無効は「契約を遡り無かったことにする」と「初めから存在しない」ですから、両者は全く別のことです。
全く違うはずの「取り消し」と「無効」をメルカリは同一視し、もし取り消したら評価機能自体をさかのぼって不能にするなどという設計のプラットフォームでは、そりゃ悪意ある人は気楽にキャンセルするのでは?
なぜならキャンセルしたら全てなかったことに出来るから。
これじゃ自浄作用が働くわけないですよね。
悪意ある人にとってはやりたい放題です。
例えば、一方こちらはヤフオクでの例です。
ヤフオクでは今キャンセルに関する評価は、このようになってます。
ヤフオクは昔、キャンセル一つで悪い評価が自動的につけられましたので、その当時に比べたらこれでも緩い方です。
このヤフオクの基準変更は、おそらく双方合意による取り消しを可能にするためと推察します。
変更しても手動評価を残しておくことで返品詐欺のような悪意ある輩の存在余地は残さず、きちんと自浄作用が働くようなプラットフォームが設計されてます。
長くなりましたが、以上がメルカリから全ての出品物を停止した経緯です。
以前フリマ利用者の立場で、ヤフオクとメルカリを比較したことがあります。
この投稿時にはメルカリしか対応してなかった「ゆうパケットポスト」「ゆうパケットプラス」、今はヤフオクでも対応しています。
逆にメルカリはキャンセルし放題の課題に対応すれば、返品詐欺の問題解決は一定程度は図られると思います。
ただし、
民法という基本法の主旨を逸脱した取引の横行を黙認する体制
このような事例がこれまでもあったということが今になって沢山上がってきた様子から想像されるメルカリ全体のガバナンスは、仮にこの問題だけをピンポイントで解決したとしても「賢い社員が沢山いるはずなのに、なぜこれまで一人も基本法を逸脱する状態をダメだと思わないのか」というメルカリ全体の自浄作用になにか課題があるように見えます。
わたしはこれまでメルカリを、金融全体に好影響を及ぼすだろう、200年来の変化を表す「風の時代」の旗手と思っていました。
でもその私の期待はどうやら一方的なもののようです。
メルカリはフリマの評価機能で得た自社独自の信用情報を、自社クレカの与信にも活かしてきました。
それほど重要で展開可能性があったはずの自社独自の信用情報が、実は悪意あるキャンセルし放題のひとたちと同一視される目線での評価だったのでしたら、正直心外です。
後日「メルカリの安心安全に関する体制強化と新たな補償方針による対応の開始について」
11月25日、このようなプレスリリースがありました。
詳細は次の3点です。
- お客さまサポートの体制の強化
- お客さまへの補償の拡大
- 不正利用者の排除
1と2だけでしたら自浄作用が働く仕組みにはなりません。
ただ悪人を太らせるだけですので。
今後の実効性は3の「不正利用者への排除」の運用にかかっていると思います。
今後どんな不正出品が編み出されるのか悪人の考えは全く見当つきません。
法や人間性の根本に立ち返ることの重要性にメルカリが気付いてくれれば、今後どんな手口が生まれ想像もつかない不正手段が生じても、メルカリの今後の自浄作用に期待できるようになると思います。
コメント
今年からメルカリ出品をするようになったので、気になることですね
ただ、プラットフォームとしてすごく力があるので、他に移るのは悩ましいです
出品が頒布目的で利益がほぼ無いので一つトラブルがあると損しかないので
それを視野にいれると値付けも上がるし、それは望むところでもないし…
こんにちは!
法的なことを書きましたが、単純にこれまで期待してたのに実は悪意ある人にやさしい仕組みだったのか、と勝手に私が失望してるだけです。
プラットフォーマーとしての力や値付けがメリットなのでしたら、メルカリは引き続き魅力あるマーケットだと存じます。