4年近く前のことですが、長年妻が使っていた包丁の柄を
いちど修理したことがありました。
その時は3Dプリンタで作りました。
しかし素材のPLAはすぐ水でふにゃふにゃになってしまい、数回の使用でダメになってしまいました。
妻には既に別の包丁を使ってもらっているので、この包丁はそのままお蔵入りとなりました。
それから約4年の時が流れ、ようやく
再びこの包丁の柄を作り直すチャンスがやってきました。
今度は素材に
リンゴの木を使います。
ありがたいことに約1年前、剪定した丸太を譲ってくれるというリンゴ園の方をSNSで拝見しました。
せっかくなのでそのご厚意に甘え、少なくない量のリンゴの木を頂戴に伺いました。
戴いた木はすぐ、一部を水中乾燥・残りを自然乾燥にし、
この包丁の柄に使おうと企てている枝は、最初から真っ二つにしておきました。
それから1年…
作業準備
計画通り(キラが記憶を取り戻す瞬間の画像)
真っ二つにして1年乾燥させたリンゴの枝です。
乾燥で切り口が反ってます。
最初から真っ二つにしておいた理由は、製材の前に乾燥によってひび割れするのを防ぐためでした。
まず、砥石を面直しします。
鉋刃を研ぐためです。
仕上の天然砥石をニトリのダイヤモンド砥石で面直ししてるところです。
柄の製作作業
素材の整形
研いだ鉋で二面平行を出します。
包丁の中子と重ねてはみ出す個所を
ソリッドフレームでカットしました。
同じくはみだす長辺側は鉋で減らします。
二枚を両面テープで一体にします。
中子と重なるサイズにまで削ってるところです。
削りには昨年購入したベルトサンダーの出番が多くなりました。
新品購入時に同梱されていたベルトはすでにテカテカに減ってしまいましたので、
今回の作業ではこの汎用品を新しく調達して使用しました。
固定ピンを通す
整形の進んだ柄を、今度は包丁とも貼り合わせます。
包丁の中子にあるピン穴をガイドにして、柄にドリルで穴を開けます。
貼り合わせた3枚を剥がしたところです。
ピン穴に通す真鍮棒のカットには、再度ソリッドフレームの出番です。
真鍮棒をピンとして貫通させ仮止めしたところ。
ドリル穴が鉛直でなければここでずれが生じて仮止め出来ない場面ですが、真鍮棒は問題なく貫通してくれました。
柄を接着して仕上げ
前回3Dプリンタで失敗した時と同様に、エポキシ系2液式接着剤で、柄を中子に圧着させます。
圧着が終わった数日後。
柄を気休め程度にビニテで養生し、はみ出した真鍮棒を再びソリッドフレームでカットしました。
ピンの切り口はまだ荒いです。
でも養生のおかげで柄の傷は浅く済みました。
真鍮棒の切断面を含めた柄全体をベルトサンダーで平滑にしました。
こんなにきれいに仕上がるとついうれしくなります。
柄の中子が通らない隙間の埋め合わせには、カシュー原液を使うことにしました。
のちに柄全体をカシュー塗りしますし。
硬化するまでしばらく放置します。
塗装
塗装もカシューです。
包丁は水回りでヘビーデューティーに使うものですから、また以前のように朽ちないようにするためにもきちんと施します。
乾いては塗り、乾いては塗りを繰り返しました。
10回ほど繰り返し、#600→#1000→#2000の耐水ペーパーで研磨したのがこちらです。
仕上げはピカールで
完成
これ(写真の左下)が
こうなりました。
柄を拡大。
それにしても
リンゴの木の加工性の高さ!
「リンゴの木を素材として商品化する」にあたっては、割れを防ぐために乾燥に時間や手間を要することがの唯一のハードルかと存じます。
しかし個人でDIYする分には、今回のようにそのようなことを気にせず作れることが分かりました。
何よりもリンゴの木の硬さと加工しやすさの程よい両立がDIY好きとしては大変扱いやすく、仕上がりも良い秀逸な木工素材だと思いました。
頂いた木は手元に多く残ってますし、ほかに作ろうと企てているものもありますので、引き続き遊ばせていただきます。
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