私のT字カミソリ使用歴は約25年です。
T字カミソリを安い価格で提供することで、多枚刃による最高の髭剃りを体験してもらったのち、高い替刃を買い続けてもらうという「替刃商法」。
確かに、多枚刃のカミソリで剃った剃り味はまるで底引き網で、その良さは一度体験したら前のカミソリに戻ろうとする気を失くさせてしまいます。
しかし、その剃り味の向上は果たして「替刃単価で比較すると」差額に見合うものなんでしょうか?
最初買うホルダーセットの差額はほとんどありませんので、
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ここが替刃商法のコア部分かと。
先日あまりに安かったGillette Fusion 5+1ホルダを買ったことで、
それまで使ってたMachsyn3の替刃価格を再考するまで、このことに気が付きませんでした。
そこからこのブログはカミソリに関する投稿ばかりとなってしまっています。
ですがこの替刃商法からの脱却を試行錯誤している様子を記事にすることは、このブログの主旨に合っていると思ってのことです。
替刃を試行錯誤した結果、替刃が外国2大某メーカーと比べて格安な、
フェザー・サムライエッジとF2ネオを今は併用するようになりました。(たまにGillette Machsyn3も)
F2ネオでも充分剃れるし、肌に負担がかかっているなと感じた日にはサムライに切り替えてます。
なんといってもF2ネオの替刃単価は安いところでは60円です。
F2ネオの発見で替刃単価模索の旅もそろそろ終わりかなと思い、
単価が60円より安い髭剃りが他にあるのか、探求してみました。
選択肢その1は、ディスポと呼ばれる「使い捨てカミソリ」です。
昔出張時にカミソリをわざわざ持っていくという習慣がなく、宿泊先のホテルの使い捨てカミソリで剃ってた時期がありました。
そして必ず出血してたことで「ディスポは切れ味が悪い」という勝手な思い込みがそのときから自分の中に出来てしまいました。
従ってその後の出張には、必ずT字カミソリを持っていくようになりましたが、今度は出張先でホルダを失くしてしまうことに。
その時なくしたホルダであるSensorの余っている替刃を後に見つけ、それを活かそうと3年前に初めてお金を出して、Sensor3(多分今のCustom Plus3)を買ったのが、
唯一のディスポ体験です。
その剃り味の記憶は昔のことなので曖昧ですが、「ディスポに付いてた刃は3枚刃なのに、(2枚刃の)Sensorとあまり変わらないな」と思ったような気がします。
耐久性については覚えていませんが、持ちが良くてSensorのような切れ味が60円以下で得られるのでしたら、ディスポは充分な選択肢です。
選択肢その2は、「両刃カミソリ」です。
こんなカミソリがあったんですね。今まで知りませんでした。
「スケバンが使う」「事務所に郵便で届けられる」など、刃の見た目はTVなどで見たことありますが、この刃の本当の使い方をようやく知る機会に恵まれました。
両刃ホルダーを一般的な方法でしかもお求め安い価格で入手できる製品は、主に次の2つなようです。
- 一つは、ダイソーで扱ってる韓国DORCO製のもので、
- もう一つは、サムライやF2ネオに引き続き、またしてもフェザーです。
ここでサムライエッジのWEBサイトにあった、フェザーの企業姿勢を再掲。
カミソリは毎日使う消耗品です。「毎日使うものだから、値頃感ある価格でご提供したい。」この思いを胸に開発しました。
フェザーは、コストダウンする為に海外で生産したりはしません。品質の維持と社会貢献を目指し、国内生産にこだわっています。
両刃のフェザーは「ポピュラー」という品名です。
ホルダーの価格もこのように良心的ですが、なんといっても替刃価格が
1枚42円という点が、カートリッジ式と大きく違うところです。
先日フェザーT字カミソリのF2ネオとサムライエッジが地元の実店舗で入手できるか探しましたが、結局フェザーカートリッジ替刃は見つかりませんでした。
ドラッグストア・ホムセン合わせて6か所も探したのに…
そんな中でもこの両刃ハイステンレスはそのうち半分ほどの店に置いてあるのを見かけました。
「おっ!フェザー?」と思ってよく見ると決まってこれでした。
このように両刃の替刃の入手性は悪くないことは既に調査済み。
そして肝心の店頭価格は、良心的なことにどこでも500円を切ってました。
と異常な長さの前置きですが、ここまでは両刃にたどり着くまでの極めて自然な経緯です。
フェザー・ポピュラーを買ってみました。
入手先はアマゾン。
ヨドバシでも割と安く買えるようです。
単三電池2本を縦に並べたようなサイズ感です。
手持ちのT字の重さも計って見たところ、
- Gillette Fusion5+1 – 40g
- Gillette Machsyn3 – 37g
- フェザー・F2ネオホルダにサムライエッジ – 37g
- フェザー・F2ネオ – 36g
でしたので、ポピュラーの重さは手持ちのT字とほぼ同様と言える範囲かと思います。
刃をセットしてみました。
両刃ホルダにもいくつか種類があるようで、このポピュラーはTTO(Twist to Open)もしくは1ピースと呼ばれるタイプのようです。
首のダイヤルをくるくる回すと、写真のようにヘッドがパカッと開き、刃をセットできます。
首を先ほどと逆回しにするとヘッドが閉じて刃が収まり、セッティング完了となります。
刃のはみだし量は写真の通りでした。
それにしてもレトロな外観ですね。
機能性を追求したレガシー、気に入ってしまいました。
いよいよ初両刃してみました。
私は思い立ったらなんでも考える前にまずやってみるタイプですが、今回の初両刃は導入に慎重になっていました。
ネットの「流血必至」とか「1週間たってようやく馴れる」とかを見てしまったからです。要はビビってました。
ビビってたので、周到に準備しました。
- まず、ポピュラーを入手した後もすぐには使わず、最初に使う日を「二連休の二日目の朝」に決めました。
連休最初の日は髭剃りせず肌を休めるために充てた上で、連休二日目にするのはその日は髭剃り後仕事に行かないで済むようにするためです。失敗して流血したときや、最初は順剃りだけだと決めているので深剃りできずに青々したときの対応策です。
従って初剃りは、ポピュラーが届いてからおよそ2週間後となりました。 - またウェットシェービングを極めるなら、ブラシやせっけんを買って泡立ても一緒に始めるのが基本なようですが、私は出来るだけ普段の髭剃り環境との差をなくすため、一年生の今の時期はまだ泡立てまではこだわらず、いつもT字で剃るとき使っているジェルで剃るつもりでした。
- カミソリ以外に環境を変えた唯一の点は、小さい鏡を用意し鏡を見ながら剃る、ということだけです。
いよいよデビューの日となりました。
ここまで慎重に進め自制した反動でワクワクしていたのか、朝の目覚めが良かったです。
シャワー中の洗顔後に剃るのが私のルーチンです。
ルーチン通りジェルを肌に刷り込んで、T字と同じように刃を当ててみました。
剃った感触は普段のT字と一緒でした。
正直拍子抜けしました。
1枚刃なのでスピードはF2より遅くして剃ってますが、Machsyn3→F2ネオの時ほど遅くしてるわけではありません。
もしかしてビビりすぎて刃当たり弱すぎたのかな?と思い、中断してカミソリを見てみましたが、ちゃんと剃れてます。
自分の感覚が鈍くなったのかな?と思わず剃った肌を触ってみたら、ちゃんと感触があっただけでなく、すべすべしてました。
すべすべし過ぎて、鮮血ほとばしってぬめってるのかと思ったぐらいです。
もちろんそんなことありません。
今日は順剃りだけと決めていたので、順剃りだけでここまで剃れるんだったら申し分ありません。
やっぱり逆剃りも試したくなりました。
そこで全体を一通り順剃りした後、あごの下だけを逆剃りしました。
逆剃りも大変スムーズでした。
初剃りはこれで終わりましたが、肌へのダメージは全くありませんでした。
あごの下以外は順剃りだけだったので、全体的に深剃り出来ていません。
夜になったら伸びてきて肌がジョリジョリしてきました。
その代わり、出血はもちろんカミソリ負けも全くありません。
また、ジョリジョリといっても、順剃りだけで夜まで持つとは思いもしませんでした。切れ味は抜群なようです。
自信を深めた明朝は連休も終わり仕事がありますが、深剃りを試してみようと思います。
2日目、深剃りしてみました。
そして一夜明けた今日。
昨日は1日剃らずに伸ばしたひげを剃ったところから初剃りを始めましたが、今日は状況が違うので、昨日の経験を踏まえて調子に乗ってみることにしました。
昨日は順剃りだけだったのを、順剃り+横剃りにしてみようと思います。
調子に乗ると必ず落とし穴が待ってると分かった上です。
あご下の順剃りをスキップできると手順的に楽なので、あご下は順剃りせずにいきなり横剃り?逆剃りにしました。
また剃りのスピードは、昨日より速めのF2ネオと同じスピードにアップさせました。
その結果は、1か所だけ小さな出血がありました。
この出血は横剃り中のことじゃなかったことから、剃りスピードの速さによるものと考えてます。
横剃りでも、肌へのダメージは最小限で、無事!両刃で深剃りまでしてしまいました。
夜になってもあご下以外はジョリジョリしてません。
もちろんカミソリ負けもしてません。
ただ今日あご下だけは上手く剃れなかったので、明日から何か工夫してみます。
順剃りを省略したことが意外と影響あったのかも。
両刃体験後の髭剃り雑感
冒頭にも書きましたが、今回が両刃初体験にもかかわらず最初からあまりダメージなく剃ることができたのは、T字カミソリ25年の経験が功を奏したからではないかと思っています。
25年のうちここ10年は鏡も見ずに剃ってたので、頼りの肌感覚が鋭くなり、加重抜重や角度保持などが知らないうちに上手くなってたのではないかと。
長いT字経験をお持ちの方は、是非とも一度両刃を体験されることをお勧めします。
もちろん刃物なので扱いを誤れば危険ですが、長いT字経験をお持ちの方は熟練をかさね、既に髭剃りの所作の中から危険につながる動きは排除できていると思うからです。
両刃を試したことで自分のカミソリ経験を振り返ると、深剃りに関して言えば、
- Fusionなどの5枚刃も、
- Machsyn3やサムライなどの3枚刃も、
- ネオやSensorなどの2枚刃も、
- 両刃などの1枚刃も、
結果的にはどれを選んでも深剃りは可能でした。
それら刃数の違いから生じた差は、深剃りに至るまでの
- 剃る回数と、
- 剃りの最高速
の差でした。
やはり多枚刃ほど、回数・速度共に高い性能でした。
多枚刃は「最大の成果には費用を惜しまず」「寸暇を惜しむ」人に適していて、両刃は私のように「費用対効果を重視し」「時間がある」人に適していると思いました。
もちろん私にも時間は有限ですが、40代になってからは早起きが得意になりました。両刃で三文の得です。
短絡的な考えなんですが、
- 多枚刃の剃り回数が少なくて済むのは、肌からしてみれば枚数分刃先が肌を複数回通過してることになるので物理的に剃り回数が多くなっているから、
- また多枚刃の剃りスピードを速く出来るのは、これも単純に考えて肌からしてみれば刃と肌の接点が枚数分増えているので刃1枚当たりの肌への圧力が分散されてるから、刃を滑らせた時に揺らぎが起きて一時的に肌への圧力が増大した場合でもダメージにつながる可能性が軽減されていて剃る技術精度が高くなくても良いから、
だと考えています。これはあくまで私個人の感想です。
両刃初体験で得た気づきを全て盛り込もうと長くなってしまった投稿もこれで最後になりますが、リンゲルマン効果という言葉があります。
一人だったらきちんとやるのに、周りにたくさんの人がいると手を抜きがちになる、というものです。
なぜカミソリで突然こんな話になるかというと、カミソリはこれと似ているなと思ったからです。
刃の枚数を増やせば成果やスピードが高まりますが、資本を投入する必要があります。
刃の枚数を増やせば圧力が分散されますので、技術向上を手抜きしても何とかなりますが、1つこぼれたら総取替するほどの致命傷です。
私は20年間、主体性が欠如した傍観者たちの不作為や無責任さが蔓延しきった組織で、仲間と支え合いつづけ、今日まで生き延びることができました。
「誰かがやるだろう」と思っている人が自分からは何もやらない姿を見ることは、おぞましいことこの上ありませんでした。
しかしみんなの努力の結果、今ではこのような傾向を示す人が組織に皆無となったことで、今の仲間たちは皆活き活きとやりがいを持ってやってくれるようになっています。
自分で何でもしようとする今の私の性質は、このような仕事上の経験も大きく影響しています。
努力して自分のスキルをあげるために時間経験を踏んだり、技術や工夫で格上を相手にしたり、ということに価値を感じます。
「多枚刃の一枚として中に埋没することなく、これからも経験を積んで腕を上げ、たとえ一枚でも多枚刃以上の深剃りが実現出来る両刃カミソリのようでありたい」ということを、両刃カミソリの初体験を通じて再確認できた、貴重な出来事でした。
コメント
両刃カミソリは不思議な道具です。
使い込むほどに自分の肌に最適化され、気がつけば多枚刃や電気カミソリに戻れなくなりました。
今ではそのために早起きするのも苦ではありません。肌の調子も過去最高の状態です。
私も毎日シェービングしながら、あーでもない、こーでもないと考えながらより上達したいと思いながら剃ってます。
そうすると頭もすっきり目覚め、一日をスムーズに始められるようになりました。
何でも簡単に早く出来ることが善だと思ってましたが、これはこれで価値があるのかなと感じてます。
慣れるまでは面倒で上手く行かない故、なかなか周りに同士が増えませんが、お仲間が増えたようでニヤニヤしながら読ませて頂きました。
私もF2ネオは持ってますが、最近はとんと使わなくなりました。両刃カミソリの方が剃ってて気持ちいいので…。
快適な朝が手に入れるといいですね。
弊ブログへのご再訪ありがとうございます。
ものすごい気付きが多かったので、端的に表現できず長文となってしまいました。
単にカミソリを刃が1枚両側に付いてるものに変えただけのことなんですが、本当に不思議です。
その後の両刃は、3日目に3パスで逆剃を入れ、4日目にフォームをジェルから他のものに変えたら、さらに良くなりました。
今まさしく、毎日色々考えて工夫しながら両刃してます。
うにぞうさまからの返信で、このように考え工夫する習慣を1日のスタートに組み入れることがその日の好循環を生んでいるんだな、ということにも気づけました。
両刃の世界に魅了され、今後間違いなくはまっていく実感があります。
是非お立ち寄りくだされば幸いです。
僕は2017年2月からFEATHERの「ポピュラー」を愛用し、替刃はDORCOの10枚入りを愛用しています!(DAISOで購入)
慣れないと顔が血だらけになるらしいので怖かったけど、何ら傷ひとつなく剃れております!(笑)
とにかくランニングコストが安くて助かりました!(笑)
お越し下さりありがとうございます。
記事のとおり、最初は私も血だらけになると思っていたので、慎重に両刃デビューしましたが、Vermilion Swanさま同様に傷なくそれてしまい、拍子抜けしました。
日ごろランニングコストを優先するモノ選びをしていますが、両刃カミソリは効果も高く、最近ディスポもいろいろ試しましたが、やはり両刃がコスパが最高だと思います。
掲載から時間が経っていますが、コメントさせてください。
両刃と多枚刃との比較から、リンゲルマン効果まで洞察される
感性がとても素晴らしいです。
私もジレット・フュージョンとフェザー・ポピュラーメインに
フェザー・F2とシック・スーパー2の2枚刃をサブに
使用しております(笑)。
最近は、小回りが効く2枚刃モデルを固定ヘッドにして
自分の手首の加減でコントロールするのが面白いです。
昔は深剃りにこだわっていましたが、現在では、社会人としての
最低限のラインをクリアしていれば合格にしているので、
楽しい髭剃りライフを送っております。
ウォータードラゴンさまコメントありがとうございます!
実生活ですと「あれこれ考えすぎ」とか言われるようなことまでご評価下さって嬉しいです。
私も今朝はシック・スーパー2で剃ってきました。
仕事がある日は時短優先ですので。
この記事を書いてから今日までの間社会は色々なことがありましたが
朝の髭剃りなどのようにあれこれ考えて工夫するという行為は
生きていくうえで大事な姿勢、と髭剃りを通じ改めて確信しています。
最近は「なぜ男は髭が生えるんだろう?」ということを考えています。
私の仮説は「変な生き物も狩猟していた時代に感染症を防ぐ天然のマスクの名残」という突飛なものです。
現代はマスクがあることから、私も髭剃り度合いの社会人の最低限のラインは
「マスクと肌に空間が出来ない程度」と心得ています。
またお気軽にお越しくださると幸いです。